2000/07/22

オーストラリアのお金(1)

「お金の話」といっても、物価や貨幣価値,為替レートの話ではない。お札やコインといった、お金そのものの話である。
オーストラリアには、世界初といわれるプラスチック製の「紙幣?」があり、またコインのデザインも大変ユニーク。
そんなわけで、これからオーストラリアを訪れる方の予備知識にもなればと思い、オーストラリアのお金について述べてみることにした。

オーストラリアでは、1788年の植民地宣言以来、イギリスと同様にポンド・シリングを通貨単位として使っていたが、1966年2月14日の連邦法改正により十進法通貨単位ドル・セントを採用した。
現在オーストラリアで流通している通貨は、5、10、20、50、100ドルの5種類の紙幣と、5、10、20、50セントそれに1ドル、2ドルの6種類のコインである。
以前流通していた1セントと2セントのコインは現在は使われなくなったため、5セント単位で切り上げまたは切り捨てされた金額を支払うことになる。

◆コイン

6種類のコインの表側には、ポンド・シリング時代と同様、すべて君主エリザベス2世の横顔が描かれ、そのコインが鋳造された年が刻印されている。
1966年に最初に鋳造された十進法コインの裏側には、オーストラリア固有の動物の絵が描かれたが、後に、有名な人物や出来事を記念したデザインも施されるようになった。


※裏の話
《別にコインにまつわる「ウラバナシ」ではない……。コインの裏に描かれている絵についての話である。》

●5セント……エキドナ Echidna
丸まったハリモグラが描かれている。
ハリモグラはカモノハシと同類で、どちらも卵で子どもを産む世界でただ一つの哺乳動物。孵化した後、自分で餌を捕れるようになるまで母親のミルクで育てられる。
ハリモグラは、半砂漠から熱帯雨林までオーストラリアの多くの地域で、窪地や木の下や岩の中に棲息している。彼らは鼻先で蟻や白蟻を探り、長い粘着性のある舌でそれらをなめて食べる。害敵に出会うと素早く穴を掘って隠れることができる。

●10セント……コトドリ Lyrebird
尻尾の羽がきれいなコトドリが描かれている。
雄の尻尾の羽は古代の楽器(リラ)に形が似ており、それ故に『コトドリ』と名付けられた。
コトドリはオーストラリアだけで見つかる鳥で、ビクトリアから南部クィーンズランドまでの高湿度の森林に棲息している。

●20セント……カモノハシ Platypus
カモノハシとハリモグラは世界でただ一つの卵で子どもを産む哺乳動物。子どもは、母親の腹部の羽毛の中にある腺からミルクを飲む。その鼻先が鴨やアヒルのクチバシのような形をしているためカモノハシと呼ばれる。
足に水かきがあり、泳いで小さなエビや昆虫の幼虫を探して食べる。
カモノハシは、東部オーストラリアの川の岸辺に穴を掘って巣を作る。

●50セント……オーストラリア連邦の紋章 Coat of Arms
中央の盾の上に6つの州の紋章が並んでいる。
その盾を、オーストラリアの国花(ナガバアカシア)を背景にしてカンガルーとエミューが支えている。
50セントコインは唯一円形でないコインで、十二角形である。大きさも最も大きい。

●1ドル……カンガルー Kangaroo
1ドルコインの裏はカンガルー。
それらは有袋動物と呼ばれる哺乳動である。カンガルーは、ネズミ大から2メーターを超えるものまで、いろいろなサイズの種類がある。オーストラリアの至る所で見られ、主として草類を食べる。
1ドルのコインは数ヶ月しかもたない紙幣に換えて発行されたもので、耐用年数は平均30年といわれている。

●2ドル……アボリジニ部族の長老 Aboriginal Tribal Elder
2ドルのコインの裏側には、南十字星とオーストラリア在来の植物を背景にアボリジニの部族の長老が描かれている。
1966年に発行された2ドル紙幣に換えて、1988年に鋳造された。
直径は1$より小さく、厚みは少し厚い。

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