2000/07/24

オーストラリアのお金(2)

◆紙幣? polymer notes

オーストラリアのお札は、紙ではなくてポリマーという柔らかいプラスチックで作られている。あえて言うなら、「ポリ幣」か「プラ幣」ということになる。
1988年、世界で初めてのポリマー紙幣が記念紙幣として発行され、その後5ドル札から徐々に一般紙幣にも導入されて、92年から96年にかけて、流通している全ての札がポリマー製に置きかえられた。
手触りは思ったより柔らかく、その上丈夫だ。当然水にも強い。
下の写真のように、赤、青、黄色などとてもカラフル。しかも透明な部分まであって向こう側が透けて見える。
ポリマー化した理由は、清潔さ、耐久性、偽造防止などが挙げられるが、木の伐採をによる森林破壊を防止するという環境保全の姿勢もうかがうことができる。
10ドル札の場合、紙製なら数ヶ月の寿命であるのに対し、ポリマー製のものは少なくとも30ヶ月はもつという。寿命を終えたものは、他のプラスチック製品にリサイクルすることも可能だ。

●5ドル
<表>エリザベス2世女王(1926~)
何故か、オーストラリアの国家元首エリザベス女王が、最も小額の紙幣に描かれている。
女王の左に描かれているのは、オーストラリアに固有のアカシアの枝である。


<裏>新旧の国会議事堂
10ドル札から100ドル札まで、両面ともオーストラリアを代表する人物が描かれているが、5ドル札だけには建築物が描かれている。
新旧の国会議事堂は、新しい始まりと古い伝統の継続を意味しているというが、エリザベス女王の裏に誰を描くか、と考えるたとき、他の人物があげられなかったというところが本音かもしれない。

 
●10ドル
<表>アンドリュー・バートン・パターソン(1864~1941)
詩人であり、「ワルチング・マチルダ」の作詞者。この詩はオーストラリア国歌候補に上がったが、内容があまりにも辺境っぽく品格に欠けるという理由で落選。しかし、ワルチング・マチルダは世界中で歌われ、カンガルーやコアラと同じくオーストラリアを象徴するアイテムとして知られている。


<裏>ダム・マリー・ギルモア(女性・1865~1962)
詩人・作家。女性の人権、アボリジニの福祉、囚人の扱いなど、社会的弱者をなくすための様々な活動を行い作品を残した。


●20ドル
<表>マリー・ライビー(女性・1777~1855)
女性実業家の草分け。イギリス・ハンプシャー生まれ。13歳の時に馬を盗んだ罪でオーストラリアへ流刑される。17歳で結婚。貨物船の仕事を始め手広く繁栄させる。夫の死後、7人の子を育て夫の残した会社を更に繁栄させ富と名声を得、一大実業家となった。


<裏>ジョン・フリン(1880~1951)
フライング・ドクター・サービスの創始者。フライング・ドクターとは辺境医療サービスのこと。アウトバックの主要都市に拠点を置き、飛行機で遠隔地の病人に対応するなど、広大な国土を持つオーストラリアならではの医療制度。アリス・スプリングスには、彼が初めて作った病院や彼を記念した教会がある。


●50ドル
<表>デイビッド・ユナイポン(1873~1967)
先住民族アボリジニ初の作家。代表作に「Native Legend」「My Life Story」などがある。


<裏>エディス・ディルクセイ・カーワン(女性・1861~1932)
西オーストラリア州出身の政治家で議会初の女性議員。ソーシャルワーカーであり、フェミニスト。女性の教育権や未婚の母の保護、子供を社会から守る運動など法整備への礎を築いた。


●100ドル
<表>ネリー・メルパ(女性・1861~1931)
19世紀後半から20世紀前半にかけて世界的名声を得たオペラ歌手。名前のメルバは、彼女の誕生の地メルボルンにちなんでつけられたもの。ソプラノで3オクターブの音域を持つ彼女は、22年間に約200曲を録音した。


<裏>ジョン・モナシュ卿。(1865~1931)
軍人、エンジニア、行政官として多彩な才能を発揮した人物。第一次大戦、アンザック軍団を率いてル・ハメルの戦いで大勝利を収めた。1958年、彼の偉大な功績をたたえてメルボルンにモナシュ大学が設立された。


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