2000/07/14

Down Under



オーストラリアの隠れた人気土産物のひとつに、南北が逆になった(当然東西も)世界地図があるのをご存知の方も多いと思う。
私も、シドニーのロックスの土産物屋で見つけて買った。$8.95だった。
右の写真がそれだが、横90cm×縦60cmほどの大きな地図をデジカメで撮影して縮小したので、皺だらけだしちょっと見づらくなってしまった。

ご覧のように、オーストラリアとニュージーランドが真ん中上部に描かれ、日本や中国・ロシアはずっと下の方にある。

英語で "down under" とは、オーストラリアとニュージーランドのことをいい、辞書にもちゃんと出ている。(北半球の人間が使う)普通の地図の「下の方」にあるから、そう呼ばれるようになったのである。

しかし、南半球に移り住み「国家」としての体裁が整ってくるにつれて、これでは面白くないと考える人が出てきた。そこで生まれたのが、オーストラリアとニュージーランドを上において北半球を下に置いた地図なのである。この地図は半分(いや、ほとんど)ジョークで、実際に使われているのは、我々と同じ北が上の地図なのだが、オーストラリア人やニュージーランド人の心意気が感じられて面白い。

この地図には、次のようなコメントが書かれている。

  No apologies are called for in presenting this map with south at the top. The convention of "north-up" was established a few centuries ago because of the use, by northern hemisphere navigators and surveyors, of the northern polar star "Polaris" and the magnetic compass.
  Indeed, in earlier times east was placed at the top of maps and this was the origin of the term "Orientation".
  After hundreds of years of development, southern lands have no reason to be "below" the northern hemisphere countries.

要約するとこうなる。

南を上にしたこんな地図を作ったって、なんの問題もないだろ。もともと「北を上」にする習慣って奴は、何世紀か前に、北半球の探検家や測量士の連中が北極星と磁石を使うために作ったもんだ。
実際、もっと前にゃ東が上の地図だってあって、こいつが「オリエンテーション」 "orientation" の語源になったくらいなんだ。
今じゃもう、南の国が北半球の「下」にある理由はないってぇわけよ。

※上の文章には、「北極星」 "Polaris" の語源となった "polar" は、本来「南」の極を意味する言葉であって、「北の極」は "arctic"。それなのに何故北極星を "Polaris" というんだ? という意味も込められている。

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