2000/06/23

«ピナクルズ Pinnacles のできるまで»

ナンバン国立公園の最も人気のある呼び物はピナクルズ砂漠だ。最高4mに達する何千本もの石灰岩の柱が、荒涼とした黄色い砂の風景の中に聳えている。あるものは先端がぎざぎざに尖った柱であり、またあるものは墓標に似た形をしている。ピナクルズとは一体何なのだろうか。どんな自然の作用が、これらの奇妙な目を見張るような構造物を造り上げたのだろうか。ピナクルズの石灰岩の原料は、豊富な海洋生物に溢れた昔の時代の、海の貝や甲殻類の殻である。これらの殻は石灰質を豊富に含んだ砂となり、風によって内陸に運ばれて、高い移動性の砂丘を形作った。冬の雨がこれらの砂から石灰質を浸出させ、砂丘のより下の方の層にある砂の粒を固めていった。植物が生えて砂丘は安定する。同時に、酸性を帯びた土や腐食質の層が、残された石英質の砂の上に形成されていった。この酸性土壌は(石灰質の)浸出作用を促進し、カルクリート(一般的に土壌の層の一部として形成される石灰質の固まり)の固い層が、下の方のより柔らかい石灰岩を覆う形で成長する。今日このカルクリートは、多くのピナクルの上に性質の違う笠のような形で見られ、下の柔らかい石灰岩を保護する役目を果たしている。カルクリートの層にひび割れが生じ、植物の根によってさらに広げられた。水はこのひび割れを通ってより深く浸透し、下の柔らかい石灰岩を溶かし去った。ひび割れによってできた通路は、徐々に石英質の砂によって埋められていった。この表面下の侵食は、最も弾性のある柱だけが残るまで続けられた。強い風によって覆っていた砂が吹き飛ばされ、今日我々が見ているようなピナクルズが現れたのである。

ピナクルズの形成

雨で砂から浸出した石灰質が、砂丘の下の層を柔らかい石灰岩に変えていく。

砂丘の上に生えた植物が、腐植土の酸性の層をつくり、柔らかい石灰岩の上に固い石灰岩のキャップが成長していく。

樹木の根によって、固い石灰岩の層に割れ目ができ、下の柔らかい石灰岩層の侵食はさらに続く。そうしてできた溝に石英質の砂が埋められていく。

植物が死に絶え、風が侵食された石灰岩の上を覆っていた砂を吹き飛ばし、ピナクルが現れる。

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